「ご、ごめんなさい!目を離したすきに勝手に家に戻ってしまったみたいで………お邪魔して、すみません!」


 玄関から女の人が顔を出した。
 菊那と同年代ぐらいの女性で、肌が白く、黒い髪は肩ぐらい長さでボーイッシュなイメージだ。けれど、顔はとても可愛らしく、小柄なのでとても女の子らしさがある女性だった。


 「あ、ママー!」
 「陽菜、大切なお客さんだから家に入っちゃダメってお話したでしょ?」
 「えー!だって、樹さんに会いたかったんだもん。それに、窓から覗いたら、パパが女の人泣かせてたから、陽菜が助けに来たんだよ!ママ、パパの事、アプッてしてー!」
 「……わかったわかった。騒がしくしてしまい、すみません……」

 
 その女性は女の子を抱き上げると、菊那と樹に向けて頭を下げた。


 「そして、日葵ー!本当に彼女の事泣かせたの!?」
 「泣かせてないよ………!菊那、騒がしくてごめん。俺の奥さんの恵(けい)と娘の陽菜。本当は話が終わるまで外に出て貰ってたんだけど、陽菜が我慢できなかったみたいで。………そして、中学時代のクラスメイトの菊那さん」
 「こんにちは、初めまして」
 「初めまして………お邪魔してます。日葵くん、結婚してたんだね」
 「そうなんだー。20歳で結婚したんだ。いい奥さん見つけたからさ」
 「はいはい。ありがとー。この子、寝かしつけたら、何か出しますね」


 とても嬉しそうに2人を紹介してくれる日葵だったけれど、奥さんである恵はとてもサバサバしていた。恵は子どもをつれて2階へ上がっていってしまった。


 自分と同じ年の友達が結婚をして子どもが居るというのはとても不思議だった。
 それに、日葵は亡くなったと勘違いしていたので、より驚きと喜びが大きく感じられた。