時の止まった世界で君は

「悪い!遅れた!!」

息を切らしながらやってきたのは染谷先生。

なつを心配して、急いで対応を済ませ来てくれたのだろう。

「それで、なつの様子は?」

閉じた扉、その奥からは未だに鼻をすすり、しゃくりをあげる声が聞こえてくる。

「……ずっと、泣いたままです。説得しようと試みたのですが…”出ていって”って、言われちゃって……」

「……そっか」

染谷先生も、今回の外出を心待ちにしていた1人だった。

先生はきっと、なつの喜ぶ姿を誰よりも楽しみにしていたから、真逆のことになってしまって先生自身も悔しいだろう。

「…ちょっと、俺も声掛けてきてみるね。」

そう言った先生の顔は、今にも泣きそうだった。