とりあえず、この前あったこととなつの訴えだけを伝えて今日のところは一度帰ることにした。

何も知らない施設長とこれ以上話しても、長く施設にいてもなつや当事者がいない限り話は進まないと判断したからだ。

俺は、なつの荷物を入れた袋を車に乗せ、施設を出てから近くの本屋に向かった。

ここには何度か立ち寄ったことがある。

ふと思いついた時や、近くを通りがかった時つい寄っていくつか本を買ってしまう。

その中にはなつにプレゼントした絵本も数冊含まれている。

今日も、この入院期間中になつが読めるように何か絵本を買おうと思って来た。

児童書籍コーナーに来ると、いくつか書店おすすめの絵本が平積みに置いてある。

その中には、なつも好きな人気シリーズ絵本の新刊も並んでいた。

このシリーズは俺も何度かなつに読み聞かせをしたことがあるから、内容は知っている。

イヌくんとカエルくんの何気ない日常を描いた物語。

何気ないんだけど、なにか笑っちゃうような、あるあるな失敗だったり出来事がやさしいタッチの絵で描かれていて大人の俺も読んでいてほっこりする。

さらには、細かい絵の中に隠し要素があったりもして、つい1ページ1ページの絵に魅了されてしまう作品だ。

今日は、病院に戻ってから早速これをなつに読んであげようかな、なんて考えながらその他にもいくつか本を手に取りレジに向かった。