コンコンッ

ノックをしてから病室の扉を開けると、そこには目を覚ましたなつと、そんななつと嬉しそうに話している染谷先生がいた。

「失礼します、術後の経過診にきました。」

「ああ、瀬川。お疲れ様。手術、無事終わってよかったよ。ありがとうな。」

そういう染谷先生は、朝までの険しい顔とは打って変わって肩の力が抜けたように優しい顔で微笑んだ。

「はい。俺も一安心しています。でも、これもなつが頑張ってくれたのがあってのことなので。」

「そうだな、なつが頑張ったからちゃんと戻ってこれたもんな。」

そう言って染谷先生がなつの肩を撫でると、なつは照れくさそうにニコリと笑った。

「じゃあ、お話はここまでにして、ちょっと診察させてもらうね。」

モニターなどの数値を確認し、異常がないことを確かめていく。

うん、特に問題は無いかな。

「なつ、暑いとか寒いとかない?」

「……んー、ちょっとだけ、さむい」

「そっか、麻酔の影響で少し寒気が出てるのかもしれないね、後で毛布持ってくるよ。あとは、痛いところはないかな?」

「んー、だいじょうぶだよ。」

なつの表情を見ても、特に我慢している様子もないし些細な表情にも気付く染谷先生も何も言わないので、まだ痛みは無さそうだ。

「じゃあ毛布だけ追加するね。染谷先生は、この後もここに居られますか?」

「うん。今日はもうパソコン作業しかないから、ここに居ることにするよ。」

「わかりました。じゃあ、何かあったらすぐに染谷先生に言うんだよ。暑い、寒いとか、痛いとか気持ち悪いとか変なところあったらすぐに教えてね。」

「うん」

そう笑顔で頷いたなつの表情に安心する。

染谷先生のなつを見守る目もいつにも増して優しい。

「では、あとよろしくお願いします。何かあったらすぐ駆けつけるんで、連絡してください。」

「うん、わかったよ。瀬川も疲れてるだろうから、適当に体休めろよ。」

「はい。ありがとうございます。」

そう言って俺は病室を出た。