「あらあら、それは大変だったね。お疲れ様。」

朝、染谷先生が出勤された時に昨日あったことを伝えた。

「そっか、幡也が対応してくれたんだ。大丈夫だった?あいつ、怖くなかった?」

そう言われて、心を読まれたのかと少し驚く。

「図星だろ。あいつ、モンペだからね。」

そう笑った染谷先生は、引き出しから何か書類を取り出してペラペラと捲ってあるページで止まった。

「これ、幡也が書いたやつ。」

覗かせてもらうと、そこには小さな字で隅から隅までびっくり文字が詰め込まれている。

「すっげえだろこれ。まあ、あいつにとってはこれが当たり前なんだけどね。まあ、何が言いたいかって言うとあいつ誰よりも自分の患者さんのこと思ってるからさ、子どもたちには優しいんだけど、大人には厳しいんだ。少しでも何かあると、言葉こそ優しくても結構ツンツンした雰囲気で怖がらせちゃうみたい。」

ああ、だから少し近付き難い雰囲気があったのか。

「……でも、本当に昨日は妹尾先生が居てくださって助かりました。ほんと、俺だけじゃ力不足なばかりで…。」

「ううん、いいんだよ。昨日のは、運が悪かったんだよ。俺も滅多に引かない忙しさだったみたいだしね。これからは、俺も妹尾とも打ち合わせして誰か必ず待機しておけるようにしておこう。看護師さんにも数人対応出来るようにお願いしてみよう。」

「はい。…いつも、すいません。」

「いいんだよ。俺も最初はそうだったよ。少しずつ調整して、なつに最適な環境作りをしてあげよう。」

その言葉からは優しさが滲み出ていた。