「…なんで、なんでみんななつからはなれていくの?なつ、わるいこだから?なつ、びょうき だから?」

違う

違うんだ

「みんな、なつのこときらい?なつ、いないほうがいいのかなあ」

「違うっっ!!」

なつの肩がビクッと震える。

自分でも無意識のうちに大声を出していた。

「なつ、それは違う。そんなことない。なつは悪い子でもないし、病気が悪いわけじゃない。…ただ、周りの大人が自分勝手だからだよ。」

自分の胸にも響くものがある。

みんな、自分勝手なんだ。

障害が発覚したからって捨てるのも

面倒だからって入所を断られるのも

怖いからって逃げるのも…

みんな、みんな自分勝手。

なつの気持ちなんて考えちゃいない。

「なつ、ごめんね、本当にごめん。でも、もう決めたことなんだ。でもね、絶対なつのことを嫌いになんてなっていないから。ずっとずっと大切だし、大好きだよ。いつも頑張って、何事もチャレンジして打ち勝っちゃうなつが大好き。」

俺はなつを抱きしめていた。

大切で大切で失いたくない。

赤ん坊の頃から健気に頑張って、ここまで生きてきた。

だからこそ、俺の弱さのせいでなつを失うなんてことは避けたかったんだ。

ごめんね、悲しい思いさせてごめん。

許してなんて、烏滸がましいけど、どうか許して欲しかった……