時の止まった世界で君は



ナースステーションでやっていた仕事が一段落し、休憩前に少しなつの様子が気になったため、席を立ちそのまま病室へと向かう。

廊下の奥の個室、大部屋が並ぶ手前とは違い、普段は静かなそこへと足を運んでいると……

何やら、楽しげな声が聞こえてくる。

見れば、少し病室の扉が開いていた。

驚いて、そっと近付けば、中の様子がチラリと見えた。



そこには、ベッドを囲み楽しげに昼食を摂るなつと先生たち。

染谷先生だけじゃなくて、妹尾先生もいる。

染谷先生が、なつの傍で昼食をとる姿はよく見かけていたが、妹尾先生まで居てくれたのか。

それにしても……

なつも、先生方も本当に良い表情をしている。

なつは、心の底から楽しそうな笑顔でお喋りをし、

それを見つめる先生方の視線はとても暖かい。

普段は、あまり表情の変わらないイメージのあった妹尾先生も、微笑みを浮かべていて、窓から差し込む日差しが3人の空間を優しく照らしていた。



思わず、覗き込む形になってしまっていたことに気付き、急いで身を引く。

……声をかけようと思っていたけれど、また後でにしよう。

今、あの空間は、きっと誰にも邪魔されるべきじゃない。

素敵な時間が、少しでも長く感じられますようにと願いを込めて、俺は病室をあとにした。