時の止まった世界で君は

しかし

動かないようにするための固定や機械の準備が終わり、いざ、治療が始まるという時




「……いかないで…」

見ると、ベッドの上で涙目のなつが震えていた。

「やっぱり、こわい、ひとり、やだ……」

そう言ったなつは、次第に呼吸量が増えていき嗚咽をこぼしながら涙もボロボロと流れる。

「……やっぱり、怖くなっちゃった、か…。そうだよな、なつひとり苦手だもんな。ごめんな。」

そう言うと、染谷先生はなつの元に駆け寄り手を握ったり、また優しくお腹や頭を撫でてあげる。

「大丈夫だからね。一回、落ち着こう。ゆっくり息するよ。」

どうしたものか、と俺があたふたしていると、出てこない俺たちを不審に思ったのか放射線技師の方が部屋に入ってきた。

「大丈夫、ですか?」

「すいません、この子ひとりになるのが苦手みたいで…。少し、取り乱しちゃって……」

俺がそう放射線技師の方に説明をしていると、

「瀬川」

「はいっ」

染谷先生に呼ばれ、駆けつけると先生は俺に耳を貸すようにジェスチャーをした。

「この様子だと、またひとりにした時に同じことになる。…本当は使いたくないけど、鎮静剤お願いしてもいい?」

「…わかりました。すぐ、取ってきます。」