「じゃあ、なつ、ここのベッドに座って。前にやったの覚えてる?大きい機械あるけど、痛くないやつだよ。じっとしてればいいの。」

部屋について、ひとまず床に降ろされたなつは、まだ怯えた表情で先生の後ろにピッタリとくっついている。

「すぐに終わるし、寝てるだけでいいんだよ。」

先生がなんとか説得しようとするも、なつは首を横に振るばかり。

今日行う放射線治療は、染谷先生が言う通りに治療中の痛みや苦痛は生じない。

でも、放射線が照射されている間は部屋の中に一人ベッドでじっとしていないといけない。

3、4歳の子だとこれがまだ苦手だっていう子もいるしな……

「やだあ……こわい………」

「何が怖い?大きい機械かな、このお部屋?それとも……」

「ひとり、やだ」

なつが怯える理由が、俺の予想とは全く違う方向で驚いた。

しかし……、染谷先生はその返答を聞いて納得したように大きく頷き、なつの頭を撫でた。

「大丈夫だよ。俺も瀬川先生も、みんな隣のお部屋で待ってるから。ちゃんと、終わったら迎えに来る。大丈夫。」

「ほんと?」

「うん。本当。嘘はつかないよ。」

染谷先生にそう言われると、なつはまだ怯えた表情のままではいるものの、渋々といった様子で頷いた。