それに……。

「……冬希?」

色々と昔のことを思い出していたら、夏希に声をかけれた。その顔は、心配そう。

「ごめん、何でもない」

そう誤魔化して、僕は歩き始める。その手を、夏希が掴んだ。

「……嘘、つかないでよ……」

夏希は、俯きながら言う。

「嘘ついてないよ」

「例え、感情が読み取れなくたって……僕には、分かる!だって、僕と冬希は双子じゃん!幼い頃、冬希はちゃんと泣けてたじゃないか……何で……何で、泣かなくなったの?何で、弱い所を見せなくなったの?僕らが離れてる間、何があったの?」

泣きそうな顔で、夏希は僕を見つめた。

「……そんなの、夏希には関係ないでしょ。僕は、夏希に何も話す気は無い。誰も信じられないから」

自分でも分かるほど、冷淡な声で僕は言う。

「え……」

「…………いじめられてさ、苦しんでるのに……誰も助けてはくれない。皆が知らんぷりしてさ……僕は、気が付いたら孤独だった。僕の味方なんていなかったんだ、って……人は簡単に裏切るんだって知った日からさ。僕は、おかしくなった……泣けなくなるし、人を信じられなくなるし、まだ自分のことさえ分からないままで……」

気が付いたら、すべてを夏希に話していた。