「あ……」
駄菓子屋までの道を歩いていると、急に夏希が立ち止まった。
「……夏希、どうしたの」
僕の言葉に、夏希は苦しそうな顔で指を指す。それを辿ると、泣いている小さな女の子と、それを慰めてるお母さんらしき人がいた。
「……っ」
その場から逃げるように、夏希は歩き出す。
「ちょ、ちょっと……夏希……」
「僕は、感情が激しい人が苦手なんだ。その人の感情に左右されて、本当の自分を出せなくなるから……」
「……HSPってのも大変なんだね」
僕が言うと、夏希は「そうだね……」と苦しそうに微笑んだ。夏希は、HSPという特性を持っている。
HSPっていうのは、周りの刺激に敏感な性質らしいんだけど……僕には、正直良く分からない。HSPは、生まれつきの性質で病気じゃないみたい。
「……まぁ、大変なのはお互い様でしょ?冬希も冬希で、感情が読み取れないから分からないけど、実は意外と苦労してそう」
そう言って、夏希は笑った。……やっぱ、双子だからか分かるんだ……。
「まぁね……」
僕は、夏希の言葉にそう返す。僕の1番の悩みは、感情を出せないこと。苦しくても、辛くても、嬉しくても顔に出せないから、気付いてもらえないんだ。