拝啓、神様。 転生場所間違えたでしょ。


「おう、よかったな無事登録出来て」

ゴリさんについてギルドへと向かった俺だが無事登録を終え、ギルド員の証であるプレートをもらうことが出来た。
特にテンプレ的なイベントもなく、ギルド員さんの対応も実にあっさりしたもんで簡単な質問にいくつか答えただけで、はいどうぞとあっさりプレートを渡されてしまった。
まあ横でゴリさんが見ていたのと何か提出した書類のおかげなんですけどね、ええはい。


このギルド員の証であるプレートだけど見た目は本当に番号と何かの記号、それに名前が刻印されただけのただの銅板だったりする。
これが一応俺の身分証代わりになる……ただどこでも使えるという訳でも無いらしい。
どうもランク上がらないと本当にただのプレート同然でここの支部と町であれば身分証代わりには使えるけど、本当にただの偽造対策も何もしていないプレートなので他の町にいった時は登録しなおしになってしまうらしい。

これがランク上がってくると偽造対策してたりするんで他の町でも身分証として使えるし、町の出入りもスムーズになる。
仕事受ける際も難易度高めの受けられるし、それに実力がなければランク上げられないそうなんでパーティも組みやすくなるとかなんとか……。
早くランク上げたいもんだ。 平均で3年ぐらい掛かるそうだけどね!


それでですね、そんなギルド員の証であるプレートを受け取った俺はというと……見た目ではっきり分かるぐらいしょんぼりしている。

「…………ハイ」

「何だ? 浮かない顔して」

じーっとプレートを見たまま動かない俺を見てゴリさんが声を掛けてくる。
俺はすっとゴリさんに見えるようにプレートのある部分を指さした。

「いえ、そのこの仮名なんですけど……」

俺の指さした先には俺の名前……仮名で登録したものだ。
ゴリさんはそれを見てうんうんと頷き、言葉を続ける。

「おう、良い名前じゃねえかお前さんにピッタリだろ」

「えぇぇ……ウッドマンって安直過ぎないですか?」

「そうか?」

ちなみにというか分かってくれると思うけど、これ考えたのはゴリさんですからね?
書類提出した際にさ、仮名何にするか聞かれなかったんだよね……特に書類に記載するとかなかったし、これから聞かれるんだろうなーって待機してたら登録が完了しちゃってたと言うね。
たぶん最初にゴリさんが出した書類に名前書いてあったんだろうなあ……。

右半身確かに木なんだけど……安直すぎるというか、ドストレートすぎやしませんかね、ゴリさん。
……だが、俺と違ってゴリさんはそうは思わなかったらしい、ピッタリだろと良い笑顔で言う様子からは悪意などは一切感じず、純粋に良い名前だと思っていることがうかがえた。
ちなみに職員さんを見たらすっと目をそらされた。 ひどい。

「まあ、名前思い出せば後で変えることも出来る。 とりあえず装備整えてこい。 ギルドの左右にある建物で大体のもんは揃うはずだ。 何を買えばいいかは店員にでも相談するんだな」

「はい」

「あとは泊まる所を確保して、潜る前には注意点をギルドの職員に聞いて……あとはなるようになる。 そこまでは俺たちも面倒見切れん」

幸いなことに後で名前は変えることが出来るらしい……よかった、本名思い出したらそっちで登録しなおそう。

後はゴリさんに言われた通り装備整えて宿もとってギルド職員に話を聞いて潜るだけだ……今更ながらゴリさんには世話になりっぱなしでやばい。
恩は返そうと決めたけど、返しきれるだろうか?

「はい! 何から何まで本当にありがとうございました。 俺……皆さんに会ってなければ今頃どうなっていたか……」

「だあ! いいんだよ、俺は酒をおいしく飲みたいだけなんだから……ほれ辛気臭くても酒が不味くなる、さっさと行ってこい」

「はいっ」

ゴリさん達は手近なテーブルに集まると酒を注文しだす。
これから酒飲んで寝るってのは本当なんだろう、十分以上に世話になったしこれ以上邪魔するわけにはいかない。

明日はさっそくダンジョンに潜ろう、そして成果を持ってゴリさんに報告するんだ。
そんなわけで日が暮れる前に装備を整えにいかねば……。
俺はゴリさんに出かけることを告げ、ギルドの左右にある建物へと向かうのであった。