新婚未満のかりそめ初夜~クールな御曹司は淫らな独占欲を露わにする~

「では今日はここまでにしよう。続きはまた明日に」

 ジョージさんの一言に私と井手君は立ち上がる。

「ありがとうございました」

 声を揃えて言うと、ジョージさんは「お疲れ」と労いの言葉をくれた。

 昼休憩を挟んでの研修一日目が終わった。渡された日程によるとあと二日間ある。
 明日以降はジョージさんによる講義だけではなく、様々なカリキュラムがあるようだ。

「川端、ちょっといいか?」

「えっ?」

 ふいに声をかけられ、キョトンとなる。だけどすぐにジョージさんに呼ばれていると認識し、「はい!」と返事をして駆け寄る。

「仕事のことで話したいことがあるんだ」

 そう言うと彼は、チラッと井手君を見た。

「あっ、えっと、お疲れ様でした! また明日もお願いします!!」

 ここにいてはいけないと瞬時に察したのか、井手君は素早く荷物をまとめて会議室から出ていった。

 まさかふたりっきりになるとは想定外で、変に緊張する。

 今朝は家で顔を合わせなかったし、なんか気まずい。だけど仕事の話ってなんだろう。