新婚未満のかりそめ初夜～クールな御曹司は淫らな独占欲を露わにする～

　恋愛に関しては遅れをとったが、職場の人間関係には恵まれたといえるよね。

　だって教育係の金子さんも優しくて仕事ができ、尊敬できる上司だもの。井手君とは切磋琢磨していける関係になれそう。
　なによりジョージさんから学べるものが多くある。この研修の資料ひとつを見てもそうだ。

　私と井手君のためにわかりやすく作成してくれたのがわかる。説明も馴染みのある言葉を巧みに使い、難しい内容もスッと頭に入ってきた。

　ブラック企業とはいえ、営業の知識は多少なり備わっている自信があるからこそ、ジョージさんのすごさがわかる。

　しみじみと感じていると、いきなり手をがっちり掴まれた。びっくりして井手君を見れば、ギュッと私の手を握っては目を潤ませた。

「苦労したんだな……！　同期として川端さんの第二の人生が素晴らしいものになるよう応援する！　営業部に配属された仲間として、協力してやっていこう!!」

　顔を近づけて力説する井手君に、少し身体がのけ反る。……でも嬉しい。そう言ってもらえて。

「ありがとう」

「礼なんていらないから。同期として当然のことだし」

　素直な思いを伝えれば、井手君は掴んでいた私の手を離して、わかりやすく照れた。