や、やめてほしい……! そんなこと言われたら、恥ずかしくて身体中の熱が顔に集中しちゃう。

 案の定、じわじわと顔が熱くなっていく。

 どうしよう、絶対今の私の顔は真っ赤に違いない。

 居たたまれなくて目が泳ぐ。すると次の瞬間、頭上に触れたのはジョージさんの大きな手。

 びっくりして顔を上げると、優しく私を見つめる彼と目が合った。

「ん、会社以外ではそう呼んでくれ」

 そう言いながら目を細めたジョージさんの笑顔に、胸がキュンとなる。

 なにこれ。息をするものつらいほど苦しい。

「……は、い」

 それでもどうにか返事をすると、大きな手が離れていく。

 顔が熱くてたまらない。間違いなく茹でタコのように真っ赤になっているよね。

 金子さんもいるんだから、ドキドキしている場合じゃない。ジョージさんへの恋心は、一刻も早く忘れないと。

「涼ちゃん、どれがいい? ここのケーキ屋さんでオススメなのは、イチゴタルトなの。あー、でもモンブランも捨てがたいな」

 金子さんと仲良くなりたい。そのためにも絶対に好きになってはいけない人なんだ。
 そう自分に言い聞かせる。

「えっと、じゃあイチゴタルトでもいいですか?」

「もちろん! 食べてみて」

 必死に高鳴る胸の鼓動を沈め、四人でジョージさんが買ってきてくれたケーキをおいしくいただいた。