新婚未満のかりそめ初夜~クールな御曹司は淫らな独占欲を露わにする~

「バッグはもう少し小ぶりのものがいいですかね? あ! 髪も下ろしていかず、しっかりまとめたほうがいいでしょうか?」

 家を出る時間が迫ってくると、ますます落ち着きを失っていく。

 自分の部屋に戻って、もう一度着ていく服から考えようとしたけれど、ジョージさんに腕を掴まれた。

「涼、ちょっと待って。少し落ち着け。大丈夫だから」

「でも……」

 失礼があったら大変だ。

「大丈夫、バッグはそれでいいし、髪も今のままでいい。あとは涼が笑顔になってくれれば完璧だ」

「あっ……」

 そうだよね、どんなに外見を気にしたって、笑顔で挨拶できなければ好感度もなにもない。

「だからほら、少し休め」

 そう言うとジョージさんは無理やり私を隣に座らせた。頭を撫でられ、自然と心が落ち着いてくる。

「いつも通りの涼でいてくれたらいい」

「……はい」

 変に取り繕うことなどせずに、ありのままの自分を見てもらおう。だって彼と結婚するとなれば、ご両親とはこれから長い付き合いとなるのだから。

 それから少ししてすっかりいつも通りの自分になれた私は、ジョージさんとともに彼の実家に向かった。