新婚未満のかりそめ初夜~クールな御曹司は淫らな独占欲を露わにする~

 次の日から、私は会社で注目の的となった。社内を歩けばコソコソと話をされ、ジョージさんとのことを聞かれることもしばしば。

 大抵の人には私たちのことを好意的に受け止められているようだった。

 井手君からも『新川部長の誠実な思いが伝わったようだ。運命の恋に落ちたんだねって盛り上がっていたぞ。ふたりは赤い糸で結ばれていたんだとも』と聞かされた。

 もちろん、心ない言葉を言われることもある。だけど決して私は下を向かずに堂々としていた。

 ジョージさんが好き。ただひとりの男性を好きになっただけ。私もジョージさんも、悪いことはなにひとつしていないのだから。


 そして迎えた、運命の日曜日。
 私は平日より早い時間に目が覚めてしまい、準備に取りかかっていた。

「ジョージさん、この服で行って失礼じゃないでしょうか?」

「大丈夫だよ、可愛いから」

 サラッと言われた誉め言葉も、今は耳に届かない。すぐにソファに座って寛ぐジョージさんに、次なる心配事をぶつける。

「手土産は本当に栗羊羹でいいんですよね?」

「あぁ、母さんの大好物なんだ。父さんも甘い物は好きだし問題はない」