新婚未満のかりそめ初夜~クールな御曹司は淫らな独占欲を露わにする~

 そして泣いている私を慰めるように、彼の大きな手が背中を行き来する。

「それに俺は涼以外と結婚するつもりはない。たとえ両親に反対されても、な。そのときはそうだな……。ふたりでも駆け落ちしようか?」

 からかい口調で言うジョージさんを見れば、イジワルな顔をしている。

 大家さんと金子さんに言ったときの私を真似ているんだよね?

「いいんですか? なにもかも捨てて私と駆け落ちなんてして」

 イジワルにはイジワルで返すものの、ジョージさんはすぐに答えた。

「いいに決まってるだろ? 涼さえいればそれだけでいい。貧乏でもいいよ、俺は」

「……本当にですか?」

「本当に。……涼は違いのか?」

「私だって同じ気持ちですよ。……でもやっぱりジョージさんのご両親に認められて結婚したいです」

 好きな人のご両親にも、祝福されて結婚したいもの。