新婚未満のかりそめ初夜~クールな御曹司は淫らな独占欲を露わにする~

 突然現れたジョージさんに、みんな話していたことが話していたことだけに、気まずそうにしている。

 ジョージさんも聞いたんだよね、あの噂を。それでさっきのように『悪いのは全部俺なんだ』と言ったんでしょ? もしかして悪者になるつもりなの?

 しかしこの状況で、どうやって金子さんとのことを説明するのだろうか。

 隣に立つジョージさんを見つめていると目が合う。すると彼は眉尻を下げて、口を動かした。『ごめん』と。

 どういう意味? ごめんって。これからジョージさんは、なにを言うつもり?

 困惑する私を余所に、ジョージさんは耳を疑うことを言った。

「俺は今、隣にいる川端と結婚を前提に付き合っている」

「えっ……」

 思わず声が漏れ、大きく目を見開いた。

 ジョ、ジョージさん? なにを言って……。

 驚いているのは、もちろん私だけではない。営業部のみんなも声を失い、ただジョージさんを見つめるばかり。

 そんなみんなに向かってジョージさんは続けた。

「先に気持ちが離れたのは俺のほう。婚約破棄を言い出したのも俺なんだ。だから金子はなにも悪くない。婚約が解消された後に金子は運命の相手と出会い、すぐに結婚しただけだ」

 彼の話を聞き、みんな騒がしくなる。