新婚未満のかりそめ初夜~クールな御曹司は淫らな独占欲を露わにする~

『どこでバレたかわからないけど、金子さんが新川部長を裏切って、他の男と結婚式を挙げたって、そりゃもうすっげぇ騒ぎでさ。新川部長は朝から会議でいないから、営業部の先輩たちもみんな大騒ぎ。金子さんに幻滅したとか、新川部長が可哀想って。とにかく金子さんへのバッシングがすごいんだ』

「そんな……」

 違うのに。真実はそうではない。

『俺も事情を知っているから、心が痛くてさ。でも俺が言うわけにもいかないだろ? これから商談が入っていて会社を出ちゃったけど、あの様子じゃもっと噂に尾ひれがついて一気に広まりそうだぞ』

 噂とはそういうものだ。人から聞いた話は、いつしか話が大きくなって次の人に伝わったりするもの。

『とにかく川端さんの耳に入れておこうと思って。……そろそろ新川部長の会議も終わる頃だと思う』

「そっか、ありがとう。とにかく会社に戻るよ。井手君は商談、頑張ってね」

 お礼を言って通話を切り、会社へと急ぐ。

 私にはどうすることもできないけれど、でもなにもせずにはいられない。