新婚未満のかりそめ初夜~クールな御曹司は淫らな独占欲を露わにする~

 マンションに戻ると、買ってきたものを整理してさっそく調理に取りかかる。
 今晩のメニューは海鮮パスタに、ローストビーフ。それとカボチャのスープ。
 デザートには、おいしそうなケーキも購入済み。

「うわぁ、ローストビーフって家でも簡単に作れるんですね」

 出来上がったローストビーフを見て言うと、ジョージさんは薄く切って私の口の前に持ってきた。

「食べてみて」

「えっ?」

「味見」

 えっと……ジョージさんに食べさせてもらうなんて恥ずかしいのですが。でもこれは食べないといけない雰囲気だ。

「いただきます」

 彼の口から食べさせてもらうと、お肉は想像以上に柔らかくてジューシーだった。

「おいしい」

 そう言うとジョージさんは顔をクシャッとさせた。

「だろ? もう一枚食え」

「えっ? んっ」

 口に入れられ。モゴモゴしていると「ハムスターみたいだな」なんて言って笑われる。

 バカにされているとわかっているのに、このやり取りに幸せを感じて怒れなくなるよ。