「そういえばびっくりしたよな、陸の新作のモデルが俺たちだなんて」

「そうですね」

 ふたりで叶先生の作品を本棚にしまっていると、話題は結婚式のときに聞かされたことになる。

「だけどあいつもあいつだ。俺たちになにも言わずに書きはじめたんだから」

「でも私は嬉しいですよ。大好きな叶先生の作品のモデルになれるなんて。……内容によっては、読んで恥ずかしいかもですが」

 叶先生の作品は、本当に毎回ヒーローが素敵で、キュンとさせられる。

 そのヒーローが、ジョージさんをモデルにしたってことでしょ? どんな甘いセリフを言うのかとか、考えるだけでドキドキする……!

 ドギマギしながらしまっていると、急に「涼」と呼ばれた。

「なんですか?」

 彼を見た瞬間、触れるだけのキスが落とされた。

 突然のキスに目を閉じる暇もなくて、大きく目を見開く私を見てジョージさんは笑う。

「陸のことだ。こういうシーンも入れているかもな」

 こっちは心臓バクバクしているというのに、ジョージさんは至って普通。