振り返ると、リビングにはソファにテレビといった、必要最低限の家具しか置かれていないからか、広いリビングがさらに広く見える。

「キッチンはこっち」

 手を引かれ、奥にある対面キッチンに入ると、一通りの調理家電や器具や揃っていた。

「涼と一緒に料理ができたらと思って、新しく買い替えたんだ。もし足りないものがあったら、これからふたりで揃えていこう」

 彼の言う通り、炊飯器や冷蔵庫、オーブンなどは真新しい。まさか全部買い替えてくれたなんて……。
 嬉しくて胸をいっぱいにさせていると、ジョージさんは照れくさそうに言った。

「自分でも驚くほど、涼とふたりで暮らすことに浮かれているようだ」

「ジョージさん……」

 それを言ったら私もだ。荷造りしていたときは、ずっと顔が緩みっぱなしだったもの。

「あの、ジョージさん! 今夜、さっそくふたりで夕食を作りませんか?」

 そう提案すると、彼は嬉しそうに顔を綻ばせた。

「いいな、そうしよう」

「はい!」

 ふたりで暮らしはじめて最初の夜。おいしいご飯を作って一緒に食べたい。