たとえ離れて暮らすことになっても、大家さんと金子さんとの関係は変わらないはず。

 受け取ったブーケを見つめながら、そう強く思った。



 それから一週間後。新婚旅行から戻ったふたりは、仲睦まじくシェアハウスから出ていった。
 近いうちに絶対に遊びにきてねと言って。

 それと同時に私もジョージさんのマンションで、ふたりでの生活がはじまるわけだけど……。

「どうぞ」

 彼に案内されて足を踏み入れたものの、広々とした玄関で立ち尽くしてしまう。

 そもそも外観を見たときからずっと驚きの連続だった。
 超高層マンションで、コンシェルジュが常駐しており、ジョージさんの部屋は最上階だもの。

「涼、こっち」

 手招きされて向かった先はリビングダイニング。
 真っ先に目に入った大きな窓の先には、都内の景色が広がっていた。

「うわぁ、すごい」

 思わず歓声を上げて窓のほうへ向かうと、天気がよくて空気も澄んでいるからか、遠くのほうには富士山も見える。

 夜になったら、どれだけ綺麗な夜景を望めるだろうか。