「ジョージは一応シェアハウスの住人になっているけど、ここに泊まるのは仕事が忙しいときだけなんだ。月の半分以上はひとりで暮らしているマンションに帰っている」

「そうなんですか」

 新川部長がシェアハウスに住んでいる理由はわかった。ここから会社まで近いしね。でも冷静に考えればそうだよね。アラカワ製菓の御曹司だもの。マンション暮らしに納得。

「だけど任せて! 涼ちゃんの初恋は俺が必ずや成就させてみせるから。ジョージがこっちに帰ってきたときは、しっかりアシストして、全力で応援するからね」

「えっと……」

 目をキラキラさせて言われても返答に困る。

 どうなの? もしや本当に大家さんは新川部長と金子さんの関係を知らないの? そうでなければおかしいよね。こんなに応援されるのは。

「俺と話しているジョージを見て涼ちゃん、びっくりしていたよね。会社では猫被っているから」

 これはなんと答えたらいいのやら……。迷って曖昧な笑みを浮かべると、大家さんは少しだけ瞳を揺らした。

「あいつも色々と苦労しているからさ。いつの間にか外用の顔ができちゃって。……悪い奴じゃないんだ。きっとジョージのすべてを知ったら、涼ちゃんはもっとジョージのことを好きになると思う」