不思議に思いながらもついていくと、テーブルの上にはキャンドルが灯っていて、幻想的な雰囲気。さらにワインとフルーツが並んでいた。

「旅館の人にお願いしてセッティングしてもらったんだ。……言っただろ? お疲れ様会しようって」

 嘘、まさかこんなサプライズを用意してくれていたなんて……。どうしよう、嬉しくて熱いものが込み上げてくる。少しでも気を緩めたら泣きそうだ。

「座って。乾杯しよう」

「はい」

 彼と並んで座り、ジョージさんにグラスにワインを注いでもらう。

「初めての大きな仕事で色々と大変だったと思う。……本当によくやった。お疲れ様」

「ありがとうございます」

 労いの言葉に、せっかくこらえていた涙が零れ落ちた。

「どうして泣く?」

 困ったように眉尻を下げ、ジョージさんはそっと私の涙を拭ってくれた。

「すみません。……あまりに嬉しくて」

 ジョージさんは私の恋人であり、尊敬する上司でもある。そんな彼に褒められて労いの言葉をかけられたら、どうしても泣けてしまうよ。

「私、今の仕事が本当に楽しくて。この会社に入れて幸せです」