この中からふたりを見つけ出すことなど、できるだろうか。いや、できるかじゃない。見つけるんだ。

 オシャレな店に行くと言っていた。きっと駅方面のはず。

 呼吸を大きく乱しながら、それでも駆け抜けていく。すると交差点で信号待ちをしている人々の中で、見覚えのあるシルエットが見えた。

「川端……?」

 さらに足を進めると鮮明に見えてきたのは、やはり川端と井手だった。

 肩と肩を寄せ合い、井手はなにやら耳打ちしている。川端はすぐに離れ、井手を睨んで軽く肩を叩く。

 仲睦まじい様子に、怒りが募る。

 川端の隣にいるのは、俺であってほしい。他の誰にも彼女を渡したくない。

 独占欲でいっぱいになり、一目散に駆け寄る。

 信号が青に変わり、歩き出そうとする彼女の腕を掴み引きとめた。

 大きく身体を反応させて振り返ると、俺を見た川端は目を見開いた。

「――え、ジョージ……さん?」