「やっと営業部に顔を出せるな」
この二日間、一度も行けていない。しかし時刻は定時を過ぎた後。まだ川端は残っているだろうか。
足早に向かう中、すれ違う大勢の社員と、聞こえてくるたくさんの声。
「井手君と川端さん、どこに行くのかな」
「井手君、オシャレなところに連れていくって気合い充分だったよね。追いかけてからかってくる? まだ出たばかりだし」
「えぇー、やめてあげよう。明日追及すればいいじゃない」
「それもそっか」
聞こえてきた声に思わず足が止まる。
振り返ると、井手と川端の話をしていたのは営業部の女性ふたりだった。
井手とふたりで食事に行っただと? このままでは本当に井手に川端を取られてしまう。
そう思ったら居ても立っても居られず、駆け出した。
「すみません、通してください」
人をかき分けてエレベーターホールへ向かうと、長蛇の列ができていた。
まだ出たばかりだと言っていたよな? 今行けば追いつけるはず。だが、エレベーターの順番が来るのを待っていたらふたりに追いつけない。
踵を返し、非常階段へ向かう。
勢いよくドアを開けて、一段飛ばしながら駆け下りていく。
一階に着くと玄関を抜けて外に出た。しかし歩道には大勢の人で溢れている。
この二日間、一度も行けていない。しかし時刻は定時を過ぎた後。まだ川端は残っているだろうか。
足早に向かう中、すれ違う大勢の社員と、聞こえてくるたくさんの声。
「井手君と川端さん、どこに行くのかな」
「井手君、オシャレなところに連れていくって気合い充分だったよね。追いかけてからかってくる? まだ出たばかりだし」
「えぇー、やめてあげよう。明日追及すればいいじゃない」
「それもそっか」
聞こえてきた声に思わず足が止まる。
振り返ると、井手と川端の話をしていたのは営業部の女性ふたりだった。
井手とふたりで食事に行っただと? このままでは本当に井手に川端を取られてしまう。
そう思ったら居ても立っても居られず、駆け出した。
「すみません、通してください」
人をかき分けてエレベーターホールへ向かうと、長蛇の列ができていた。
まだ出たばかりだと言っていたよな? 今行けば追いつけるはず。だが、エレベーターの順番が来るのを待っていたらふたりに追いつけない。
踵を返し、非常階段へ向かう。
勢いよくドアを開けて、一段飛ばしながら駆け下りていく。
一階に着くと玄関を抜けて外に出た。しかし歩道には大勢の人で溢れている。



