新婚未満のかりそめ初夜~クールな御曹司は淫らな独占欲を露わにする~

「あ、いいえ! 大丈夫です」

 可愛いジョージさんにときめている場合じゃない。早く降ろさないと迷惑になる。

 ジョージさんの大きな手を掴むと、素直に降りてくれた。

 タクシーを見送り、足取りが不安定な彼の手を引いて家の中に入る。

「ジョージさん、靴を脱いでください。部屋に行きますよ」

「んー……」

 ふらふらしながらも、どうにか靴を脱いでくれた。だけどすぐに座り込もうとするから、慌てて止める。

「あぁ、ジョージさんだめです! 部屋に行きますよ!!」

 手を差し出されたときは、彼に触れるなんて……! とドキドキしていたけど、今はそれどころじゃない。一刻も早く部屋に運んで寝かせなければ。

 彼の部屋は、二階の奥。ジョージさんってば、なかなか自分の力で歩いてくれないから、たどり着く頃にはすっかり私の息は上がっていた。

 申し訳なく思いながらベッドに乱暴に放り込んだところで力尽く。

「お、重かった」

 ベッドの下に膝をつき、必死に呼吸を整えているとジョージさんが目を覚ました。

「あれ……? 俺」

 頭を抱えて起き上がると、まだ状況がわかっていないようで周囲を見回している。

「大丈夫ですか? ジョージさん」

 声をかけると私がいるとは思わなかったようで、ジョージさんの身体は大きくのけ反った。