新婚未満のかりそめ初夜~クールな御曹司は淫らな独占欲を露わにする~

『あ、ごめん涼ちゃん。陸からキャッチ入っちゃった。代わりにタクシーに乗ってくれないかな?』

 そう言うと金子さんは足早にタクシーから降りて、「早く乗っちゃって」と言うものだから、慌てて駆け寄った。

「それじゃジョージのことをよろしくね。もうタクシー代は支払い済みだから」

「えっ? あっ、金子さん!?」

「誰かに見られたら大変!」と言いながら、グイグイ背中を押され、あっという間にタクシーの後部座席に押し込まれた。
 すぐに窓を開けると、金子さんは運転手に向かって「出てください」と言った。

「はい、動きますね」

「あっ……!」

 走り出したタクシー。金子さんはにこやかに手を振っている。

「もう、金子さんってば強引すぎる」

 窓を閉めて背もたれに寄りかかると、隣からは規則正しい寝息が聞こえてきた。

 横を見れば、目と鼻の先にジョージさんの寝顔があって息を呑む。

 びっ、くりした。

 慌てて体勢を戻し、高鳴る胸の鼓動を必死に鎮める。そしてもう一度彼を見れば、スヤスヤと気持ち良さそうに眠っていた。