新婚未満のかりそめ初夜~クールな御曹司は淫らな独占欲を露わにする~

 頷けずにいると、金子さんは『本当よ?』と言って続ける。

『それに前にも言ったでしょ? 涼ちゃんはジョージのドストライクだって。もう両想いだよ』

「そんなっ……! 違いますよ、絶対に」

 ジョージさんが私を好きとかあり得ない。……ただ私が部下で同じシェアハウスに住む住人だから、優しくしてくれているだけ。素の自分でいられるのもそう。ひとつ屋根の下で暮らしているからでしかないのでは?

 でも金子さんは私の気持ちを乱すことを言う。

『そうかなぁ? ジョージが私以外の女の子に優しくしたり、素の自分を見せたりするところを、私も陸も見たことがないよ。絶対ジョージも涼ちゃんのことが好きだって』

 明るい声で言う金子さんも、酔っているのかもしれない。

 だけどそんなに言われたら期待してしまう自分もいる。少しは私に好意を寄せてくれているのかもしれないと。

 これまで何度か期待を寄せては、必死に希望を打ち消してきた。だって今のままでも十分幸せだったから。

 好きな人と会社でも家でも一緒に過ごせる。……しかしこの生活も残りわずかなんだよね。

 シェアハウスを出たら、私とジョージさんの共通点は会社だけになる。今までのように話せなくなるんだ。