『実はこのあと、陸と約束しているの。私のお疲れ様会をしてくれるみたい。それでジョージに協力してもらって、ジョージが早々と酔い潰れたフリをして、ふたりで先に帰る予定だったんだけど、ジョージってば本当に酔い潰れちゃって』
金子さんが苦笑いしているのが見える距離まで近づいて一度足を止め、近くに会社の人がいないか注意深く見る。
誰かに見られたら、色々とまずいもの。
その間も金子さんは話を続けた。
『珍しいのよ、ジョージが酔い潰れるなんて。だから余計に心配なの。私たち以外に、心許せる人がいなかったから』
もしかして金子さんも大家さんも、私と同じように感じていたのかな。ジョージさんが寂しがっていると。
『それなのにどうして私と陸は、都内から離れることにしたかわかる? ……涼ちゃんがいるからよ』
「私、ですか?」
思わず自分自身を指差すと、金子さんはすぐに『そう』と言う。
『私たち以外に、ジョージに心許せる人ができた。だから安心して離れることができるの。それに私と陸が近くにいたら、ジョージに迷惑がかかるわ。傍から見たジョージは、親友に婚約者を奪われた哀れな男でしょ? だからジョージには悪いけど、社長の言う通り婚約破棄は公表しないままでいいと思っているの』
「金子さん……」
金子さんが苦笑いしているのが見える距離まで近づいて一度足を止め、近くに会社の人がいないか注意深く見る。
誰かに見られたら、色々とまずいもの。
その間も金子さんは話を続けた。
『珍しいのよ、ジョージが酔い潰れるなんて。だから余計に心配なの。私たち以外に、心許せる人がいなかったから』
もしかして金子さんも大家さんも、私と同じように感じていたのかな。ジョージさんが寂しがっていると。
『それなのにどうして私と陸は、都内から離れることにしたかわかる? ……涼ちゃんがいるからよ』
「私、ですか?」
思わず自分自身を指差すと、金子さんはすぐに『そう』と言う。
『私たち以外に、ジョージに心許せる人ができた。だから安心して離れることができるの。それに私と陸が近くにいたら、ジョージに迷惑がかかるわ。傍から見たジョージは、親友に婚約者を奪われた哀れな男でしょ? だからジョージには悪いけど、社長の言う通り婚約破棄は公表しないままでいいと思っているの』
「金子さん……」



