全体重が私に圧し掛かり、すぐに規則正しい寝息が聞こえてきた。

「嘘でしょ」

 なんて光の速さで寝たのだろうか。そ、それにしても重い。
 どうにか引き離して寝かせても、まったく起きそうにない。

 これは誰かが送っていかないといけないパターンだ。

 前の会社では、こういった飲み会は皆無だった。同僚ともほとんど言葉を交わすことなく日々仕事に明け暮れていたから、こういう飲み会はすごく新鮮。

 でも周りを見渡せば、井手君と同じような酔っ払いがちらほら。
 こういうものなのかな? 会社の飲み会って。

 そんなことを考えていると、井手君の教育係である先輩がやってきた。

「あちゃー、井手も酔い潰れちまったか。川端さん、大丈夫だった? 変に絡まれていない?」

「はい、大丈夫です」

 答えると、先輩は井手君の腕を自分の肩に回して軽々と担ぎ上げた。

「本当、井手は調子いいからな。……でも川端さんという同期がいて、いい刺激になっているみたい。ここ最近はとくに井手も頑張らなきゃって気合い入っているから。こんな奴だけど、これからも仲良くしてやって」

「もちろんです」

 私も井手君の存在に助けられているもの。これからも同期として、切磋琢磨していきたい。