無遠慮に遮ると消えそうな声に、私は思わず彼の身体を抱きしめる。
「泣かないで。流夏」
「…っ、泣いてない」
「うそ」
「嘘じゃないし」
それでも抱きしめる力は増して、震える吐息が耳を掠めた。宥めるように背をやさしく叩くと、うんって頷く。
いつも、いつも通り。私が “ 友だち ” の所為で怪我をする度、流夏のほうが凍えそうなほどに怯えて。
「すこしは落ち着いた?」
「……あのさぁ、子ども扱いすんのやめてくんない?」
「ふふ、ごめん」
私がわらって、彼が拗ねる。
ね、これで終わり。
──ガラッ…。
だけど。今回はちがうみたい。
「流夏、離れて」
「え?」
慌てたような足音。誰かが来た、らしい。
気づいただけでも褒めてほしいくらいだけど、流夏はきょとんとしていて可愛かった。
「、冬雪…」
はあっ、と震える息を吐き出して、青白い顔を晒したのは、私でも彼でもない。
私の、 “ 友だち ” 。
「来てくれた、んだ?」
「っっ、あたりまえ! あたしたち友だちじゃん!」



