流夏は私の幼馴染。
昔からずっと一緒にいて、何をするにも私の傍から離れなかった。
私も、流夏から離れたことはない。
だって流夏だけだったの。世界のぜんぶ、私は流夏だけだった。
小学校低学年の頃、流夏の両親が飛行機の事故で死んでから、流夏は塞ぎ込んでばかりで。家から一歩も出ないどころか食事もまともにしない時期があった。
学校に来てほしくて、わらってほしくて、前みたいに遊びたくて。それからずっと、流夏ばかり。
流夏がようやく私の手を繋いで、私の名前を呼んだあの日から、流夏は私から離れなかった。
私の両親も流夏のことを本当の息子のように可愛がるから、傍にいるのに何も障害なんてなくて。
だから私たちは、互いのことだけで満足している。
だけど。
だけどね。
年齢を重ねると、私たちの間を引き裂こうと、変な虫が寄り付き始めた。
「流夏、」
「階段から突き落として怪我まで負わせて……、そんなやつをまだ “ 友だちだから ” って庇うの?」
「……、」
「なんで、冬雪ばっかり、傷つくの?」



