傷つけて、ごめん、ね。
いつも苦しいって顔をするのは流夏なのに、私はやめられない。
逃げ道をなくして離れられないようにして、そういうやり方しか、私は知らない。
「冬雪がいなくならないなら、」
大丈夫だよ。
滲む声は貪欲に私を呼ぶ。
ああもう無理。上がる口角を隠せない。
「じゃあ流夏も謝らないでね」
流夏がいなくならないなら、私は、何度友人をなくしても大丈夫。むしろ感謝しているくらい。だってあっさり利用されてくれるから。
世界のぜんぶが、きみ。
流夏を何度も手に入れて、諸々の全てを刷り込ませて、そうやって私は、自分に絶望してる。
自分の醜い部分を知る度、それでも流夏を諦めたくないって思って。だったら知らないふりをしたまま、呼吸をすれば。
きみへの恋情だけを閉じ込めていれば、叶う気がして。
ねえ、流夏。
ぜんぶぜんぶ、私の所為だって言ったら、どんな表情を浮かべるの。
「冬雪」
──ああ、だけど。
「傍にいて」
彼が “ 私 ” を見抜いても、最後にわらうのは私。



