瑠璃はそう言って空をまた見上げる。空は夕焼けに照らされ始めていた。青空にオレンジが混ざっていく。

まだ十代の瑠璃が病気で余命宣告されたと聞けば、誰もが瑠璃に「かわいそう、辛いね」と声をかけ、瑠璃の人生が悲劇であると言うだろう。しかし、瑠璃はちっとも自分の人生を悲劇とは思っていない。むしろ、喜劇だと思っている。

「誰だっていつかは死ぬの。どれほど長く生きたかなんて、私にとってはどうでもいい。私にとって一番大切なのは、どれだけ笑顔で過ごせたかどうかだから」

苦しい時には泣いてしまう時もある。でも、最期には笑っていたい。そう瑠璃は思って空を眺めるのだ。

「……あんたって変わり者だね。そのうち私と同じ扱いされるんじゃない?」

沙織の言葉に「それはそれで面白いかも!」と瑠璃は笑う。

空が、二人の心をつないだ。