「……私の一口あげようか?」

おいしい、と言いながら食べ続ける瑠璃に呆れたように微笑みながら沙織が自分のクレープを差し出す。

「いいの!?」

「うん。一口だけなら」

瑠璃はいただきますと言い、沙織のクレープに口をつけた。

「こっちもおいしい!頑張った後の甘いものって最高!」

「あんた今日何を頑張ったのよ」

「ここまで走って来たこと?」

「あんたが勝手に走り出したんでしょ」

まるで漫才のボケとツッコミのような会話が繰り広げられる。そしてしばらくして二人は同時に笑い出した。

「人と関わるってそこそこいいわね。あんたともっと早く関わればよかったかも」

少し寂しげに沙織が言う。瑠璃は「これからもっと関われるでしょ?」と言い笑いかけた。これから起こる未来に対して、暗いことばかり考えていてほしくない。それは瑠璃の一番の願いだった。

「私ね、今すごく楽しくて幸せなの。まるで夢みたいにね」