<真夢>

柊 新乃。俺の隣に住む女。
俺は5月生まれで、にのは6月生まれ。
俺が他県の受験に落ちたから幼稚園から高校まで一緒。
中学一年の時、にのは両親を事故で亡くした。
それから俺の両親は新乃のことを家族のように迎え、一緒に食事をとることも多い。
隣の家に住んでると嫌でも彼女が目に入る。
亡くなったお母さんに似て美人で、背が高くて細くて胸もある。
俺はアイツに惚れた男にどれだけ妬まれたか。
そしてにののドライな性格が女子にも人気の理由だ。

「よ!」
新乃が肩を叩く。
「おはよ」
「なんでお弁当いらないのー?」
「うるせえよ」
俺の母親のでかい声はきっと新乃の家まで聞こえているんだろう。

新乃の長い髪が靡く。俺はその髪の匂いが、なぜか恥ずかしくて先を行く。

俺たちは恋人じゃない。
新乃が可愛いのは、、男なら誰でもそう思うだろう。
隣の家に住むにのちゃんから、女に変わった彼女を意識すればするほど、感じてしまう。
小さい頃はずっと遊んだ。でも、友達にはなれなかった。
変わったのは新乃の親が亡くなってから。


きっとあの日から。