今日は、あいにくの雨。私は、仕方なく傘を差して高校へと向かう。

「よぉ。今日は雨だな」

声をかけられて振り向くと、こうもり傘を差した大輝(だいき)が立っていた。大輝は、私の彼氏。数か月前、大輝に告白されて付き合うことになったんだけど……。

何でイケメンな大輝が、平凡な私を選んだのか不思議だった。だから、私は問いかけてみる。

「……ねぇ、大輝。何で私を選んだの？他に、可愛い人だっているじゃんか……」

私が言うと、大輝は「バーカ」と言いながら、微笑んだ。

「お前は、俺がいなきゃ無茶するだろ？」

大輝の言葉に、私は言葉を詰まらせる。

「それに……俺には、お前しかいねぇの」

そう言って、大輝は傘を差したまま私を抱き締めた。大輝の体温が、温かくて心地が良い。

「……っ」

涙が溢れて、止まらないんだ。数年前のことを思い出してしまったから。

「……大丈夫だ。思う存分泣いて良いから」

「うぅ……何で、私だけ……こんな、目に……っな、何で……？」

私は中学生の時、酷いいじめを受けた。暴言はもちろん、水をかけられたり、お気に入りのキーホルダーを壊されたりとかされて来た。

それを助けてくれたのは、同じ美術部活に入ってた別クラスの大輝だったんだ。今でも覚えてる。確か、この日から部活で話すようになったんだよね。