放課後、私が図書室で待っていると、5時ごろに浩二先輩がやってきた。

「帰ろうか」

「はい」

「今日は、大変だったね」

「でも、浩二先輩が助けてくれたから」

「それは、くぅちゃんのおかげだよ」

「浩二先輩、6時半ごろまで、私の家にいられます?」

「うん、連絡しとけば大丈夫だけど。何?」

「秘密、です」

「なんだよ~、言えよ~、くすぐるぞ~」

こちょこちょこちょこちょ・・・浩二先輩が私をくすぐる。

「あははは・・・勘弁して・・・実は、くぅちゃんに関することなんです。今、言えるのはそれだけ」

「くぅちゃん・・・不思議なコだよね」

「はい・・・」

それから、自然に手を繋いで、家まで歩いて行った。

「ちょっと、部屋を片付けるので、待っててくださいね」

浩二先輩を家に招き入れ・・・私の初カレに興味津々の母だったが、とりあえず、お茶淹れるわね~って、言ってくれた。

「どうぞ~」

「お茶もはいりました。どうぞ、ごゆっくり」

ニヤニヤする母に、真っ赤になる私。

「へぇ~、女の子らしい部屋だね」

私は、ピンクが好きなので、ピンクが基調の部屋になっている。ハートモチーフなどもあって、少々気恥ずかしい。

「ありがとうございます。で、くぅちゃんなんですが」

「?」

「6時ピッタリに不思議なことが起きます」

「何だろう・・・今、5時20分だね」

「先輩、親衛隊のみなさんに、何か言われました?」

「これからも、遠くから見守っていきます、って。瑞希ちゃんに、くれぐれも何もしないように、釘を刺しといたよ」

「ありがとうございます」

「瑞希ちゃん・・・」

先輩の顔が近付いてくる。緊張して、目を見開いた。

「瞳、閉じて。キスしにくいだろ?」

と言われ、そっと瞳を閉じると、唇に先輩の唇の温もりを感じた。

これが、私の、ファースト・キス・・・。