その日の昼休み。親衛隊の10人組が瑞希のもとにやってきた。

「少しは懲りたか?副会長から、手を引いてくれるね?」

「嫌です」

「なんだとぉ??」

ビビビ、ビビビ、とくぅちゃんが胸ポケットの中でバイブした。

「何を入れてる?」

親衛隊の1人がポケットに手を伸ばす。

「これは、ダメ~ッ!!」

必死でポケットの口を押える私。そのとき。

「瑞希ちゃん・・・!!お前ら、何やってんだぁ!!」

浩二先輩が来てくれた・・・。へなへな、と力が抜ける私。

「副会長・・・なんでここが」

「そんなのは、どうだっていい!瑞希ちゃんに何をした!なんで、瑞希ちゃんは、上履きを履いていないんだ!」

「副会長・・・なんで、この娘のことを気にするんですか」

「それは、瑞希ちゃんが僕の大切な人だからだ。僕は、瑞希ちゃんが好きだ。僕を慕ってくれるのは構わない。でも、僕の大切な人に手出しするのは許さない!」

浩二先輩・・・すごい迫力。

「私も、浩二先輩が好きです。何があっても、一緒にいたい」

「瑞希ちゃん・・・」

浩二先輩が、真っ赤になっている。怒りからではなく、照れ、だと信じたい。

「分かったよ・・・勝手に2人の世界、やっときな」

呆れかえった親衛隊がぞろぞろと去っていく。

「やったじゃ~ん」「やったね~」

クラスメイト達が2人の肩を叩いてくれる。

「瑞希ちゃん・・・大丈夫だった?」

「私は、大丈夫です。くぅちゃんが見つかりそうになって、焦ったんだけど」

「くぅちゃんって言えば、僕はくぅちゃんに呼ばれたんだよ」

「えっ・・・?」

「心の中で強く、『浩二先輩、瑞希ちゃんが危ない、助けに来て!』って声が響いて」

あぁ、あのバイブは・・・そうか。

「先輩、来てくれてありがとう」

「改めて・・・彼女になってくれる・・・んだよね?君が好きだ」

「はい。・・・私も浩二先輩のことが好きです」

(よかったね、瑞希ちゃん、浩二先輩)

2人の胸に、その声はしっかりと伝わった。