休み時間。3年生の女子10人組が、瑞希のクラスの廊下に来ていた。

「高中瑞希ってどの()

すごむような勢いでクラスメイトに聞く。

「窓際の5番目の席の、彼女です」

クラスメイトの男子が答える。

「やばいっ、瑞希ッ!!来たよ、親衛隊が」

慌てる茜。私が廊下をみると、10人組がつかつかと瑞希の方に近づいてきた。

「あんたが、高中瑞希?地味そうな子だね、あんたみたいのが相手にされるはずないから、頭に乗らないでよね。二度と副会長に近づかないで」

「なんで、ですか?私は、浩二先輩と一緒にいたいです」

バンッ!親衛隊の1人が私の机を叩いた。

「副会長は親衛隊のものなんだよ。分かったか?」

「分かりません」

キーンコーンカーンコーン♪休み時間終了のチャイムが響いた。

「それだけの覚悟があるんだな?」

言い捨てると、去って行った。

「はぁ・・・瑞希って、意外と気が強いんだ。でも、大丈夫?」

「だって、浩二先輩に会うことは、悪いことじゃないでしょ?」

「でも・・・」

「大丈夫だから!!」

まだ、何か言いたげな茜を制したとき、2時間目の古文の授業が始まった。

(瑞希ちゃん、大丈夫?)

くぅちゃんの声が心に響いてくる。

(そんなにいい男なの、そいつ?)

(優しい男性(ひと)だよ)

くぅちゃんに心で語りかける。

(放課後に会わせてあげる)

(ふぅ・・・分かったよ)

早く会いたいです、先輩。

私の先輩への想いはつのるばかりだった。