「急にびっくりしたよね ごめんね松下さん」


ササキさんが眉を下げながら
申し訳なさそうに笑った。


私にはとても、それが皮肉でも嫌味でも何でもないものに見えた。

ただ純粋に、私と仲良くなりたいと
思ってくれているように感じた。


一番最初、ササキさんが私に話しかけてくれた時 ほんとはかなり警戒していた。


住む世界が違うような、明るくてキラキラした道を歩いてきた彼女が

私のような泥道で座り込んでいる底辺女に

なんのメリットも思惑も無く 近づいてくるなんてあるはずがないと。


美容になんか目覚めやがって、気色悪い、なんて思ってるんじゃないかと。



「そ、そんなことないよ…話しかけてくれて、嬉しい」



ふと教室を見回すと

私を蔑んでいると思っていた視線は

なんてことないものに見えた。

私が思い込みすぎていたんじゃないか。