黙って俺を好きになれ

半乾きの髪はもちろんスタイリングもされていなくて。スーツも着ていないと雰囲気が違う。若く見える。・・・もともと歳は一つか二つしか差がないんだった。

何気なく観察してしまったら、妖しい笑みを浮かべた先輩が前屈みに顔を寄せてくる。

「そんなに見惚れるほどイイ男か?」

「・・・先輩は昔から格好いいです」

目を泳がせながら思ったとおり答えた。

「お前に言われるのは悪くない」

そのままジリジリと壁・・・じゃなく窓ドンされて顎に指がかかり、また口が繋がる。

先輩のキスは強引のようで。入ってくるとしなやかだった。逃げると追いかけられ、ひたすら絡みつかれる。舌で舌をなぞられる感覚に全感覚が粟立って、なにかが押し上がってくるのだ。

「・・・ぅん・・・ッ・・・っっ、」

脳髄が否応なく溶かされる。自分で自分を支えていられない。膝から崩れそうになって、唇が離れたと同時に先輩が私の腰に腕を回し、ぐっと引き寄せた。

「・・・大事に抱いてやる。俺によこせ、・・・全部」

意味は分かっていた。

その先を。考えたくなかった。

今を。失いたくなかった。

抱き上げられ、返事の代わりに先輩の首にそっと縋りついた。
ベッドに横たえられたときも。恐くはなかった。
ただ心臓が破れそうなくらい大きく波打って。息が苦しかった。