黙って俺を好きになれ

「寒くなかったら海もよかったかなぁ」

ファミレスを後にして片側三車線のバイパスを走る車。運転しながらの筒井君はやっぱり“ふやけ”が減る。

「海・・・」

思わず零した。いつ以来だろう。・・・暑かった夏、ビジネススクールのクラスメイトとグループで泳ぎに行ったきり。

「もしかして行きたい?」

「見たい気もするけど。・・・久しぶりだから」

「じゃあ決まり!」

「でも筒井君、行きたいところがあるんじゃ」

「糸子さんが行きたいとこがオレの行きたいとこ」

ウィンカーを出してスムーズに車線変更すると、楽しそうに鼻歌まで歌い出す。

「ちょっと遠いからトイレとか我慢しちゃダメですよ?そーだ、コンビニ寄って飲みもの買おーっと」

ホルダーに差し込んであったスマホに話しかけ、一番近くのコンビニを検索させて。


・・・ねぇ。今日は私がキミにお詫びをするんじゃなかったっけ?