黙って俺を好きになれ

そのあとは先輩の口数は減ったものの、思い付いたように話かけられては答える・・・の繰り返し。

「イトコは俺になにか訊きたいことはないのか」

さっきの質疑応答からしばらくして。

肩はずっと抱かれたまま、隣を見上げると間近に横顔がある。こっちに傾いた表情は柔らかくも(こわ)くもないけど、曖昧に受け流せる雰囲気でもなく。

「何でも答えてやるから言ってみろ」

確かにこうでも言われない限り自分からは訊けそうになかった。胸の内で深呼吸し、清水の舞台から飛び降りてみた。

「・・・あの、普段はなにをしてるんですか?その・・・仕事というか」

ドラマでも漫画でも、たいがいヤミ金融とか風俗店経営とか。・・・先輩もそうなのかと。

「金は黙ってても入っちゃこないからな。これでも代表取締役だ、わりと忙しいぞ?」

「会社の社長ってことですか?」

「昔と違って頭がなけりゃ生き残れない時代だ、極道(もん)も。カタギと変わらないがな」

ウィンドウの外に視線を流し、先輩は薄く笑った。