黙って俺を好きになれ

不思議な気がした。志保より彼女のほうがよっぽど相手に好かれそうなのに。容姿や性格じゃなく感性とか価値観、・・・好みかそうじゃないか。それが通じ合うのは偶然?タイミング?それとも奇跡。いったい、好きになった人に好きになってもらえる確率ってどのくらいだろう。

自分が、って置き換えたとき。筒井君の笑い顔が瞼の裏をよぎった。笑いながら、けれど真剣に告白をしてくれた彼の心情を初めて思った。

私に断られるかもしれなくても、気持ちを伝えたかったんだろうか。そんな簡単にただの後輩に戻れるんだろうか。傷付いたり苦しい思いをするのも覚悟して、それでも?

恐くなかった?躊躇わなかった?どうして?そんな勇気、私だったらきっと出てこない・・・・・・。

「トーコ?どうかした?」

「あ・・・うん、なんでもない」

横から急に梨花に覗きこまれ、笑って誤魔化した。

彼への答えをイエスノーだけで軽々しく終わりになんてできない。それじゃきっと筒井君に対する冒瀆(ぼうとく)だから。

一気に重みを増して胸の奥がきゅっとなる。2ヶ月の期限でどうにかなるのかすら、自分には分からないのだ。

「なにか悩み?ボクでよければ聞くよ、話して楽になることもあるから」

そのままじっと私を見つめた彼女が言う。
興味本位なんかじゃない真っ直ぐな眸。梨花のそういうところは全然かわらない。

「・・・あのね」

心の掛け金をひとつ外し。私はクリスマスの夜の出来事を打ち明けたのだった。