黙って俺を好きになれ

「元気だった?トーコ」

「うん。梨花も元気そう」

「そういうのは後でいいから、ほら二人とも行くよ?」

だいたい時間通りに待ち合わせ場所で会えた三人。一年ぶりを懐かしむ間もなくリーダー的存在の志保に急かされ、混雑している駅のコンコースを歩き出した。

「トーコ、迷子になんないように手つないであげるよ」

「あ、うん」

高校時代はバレー部に所属して、女子にしては身長も高い梨花。だいたいが『糸子』呼びだけど彼女のだけ違っていた。相変わらずのショートヘアで中性的な顔立ち。ジーンズにライダースジャケットっていうボーイッシュなスタイルはパッと見、性別に迷うかもしれない。

梨花とは1年の時もクラスが一緒で、付き合いは一番長い。友達っていうより妹的に扱われてたというか。教室移動や行事のたび今みたいに手を引かれたり、きっと大人しくて頼りなげに見えてたんだろう。

志保はよく言えばお節介やきで、梨花は守護神・・・とでも言うか。他の二人はマイペースなタイプで気後れすることもあったし、一緒にいて楽だったのはやっぱり梨花だった。今日だって彼女が来なかったなら悩みに悩んだと思う。





お目当てのビュッフェは駅から5分ほど歩いたショッピングビルの最上階にあり、14時半からスィーツバイキングが始まるらしい。すでに行列になっていて待つのかと思ったら、志保がスマホの画面を私達に向け「ばっちり予約済みに決まってんじゃない」と得意げに笑った。