黙って俺を好きになれ

私の肩に乗せられた強かな手。薬指にはお揃いの指輪が鈍く光ってる。

「お腹の子供に聞かせる話でもないらしい。妻はこれで失礼するが、遅ればせながらお祝い申し上げる」

「は・・・?エッ、なに?妻?妻って?糸子が・・・?!」

志保は口をあんぐりと開けて絶句。幹さんは言うだけ言うと、固まっている他の二人にも構わず「帰るぞ」と結った頭の天辺に口付けを落とす。

「はい、幹さん」

隣りを仰いで笑み返した。心配で迎えに来てくれた優しい旦那様に。

呆けたままの三人に挨拶したけど、ちゃんと届いていたかどうか。梨花が悪戯っぽくこっちに片目を瞑ってみせたから、あとはなんとか上手く収めてくれるはず。

私の手から荷物を取り上げ、ゆっくり歩調を合わせてくれるあなたは普段より淡色の三つ揃い姿で。落ち着いて帰りを待ってくれないのが、とても幹さんらしいというのか。